【雪景色】JR東海高山本線 HC85系特急ひだ7号 高山⇒富山間

高山本線の特急「ひだ」に乗ってきました。途中の飛騨古川~猪谷間は雪景色がきれいでした。ところでこの特急に使用されているHC85系ですが性能も乗り心地も良かったですが、正面のデザインが今一つかっこよくないですね。黒く塗られている部分が牛みたいでまるで焼き肉屋のロゴマークに見えます。
 特急「ひだ」は、JR東海およびJR西日本が名古屋~高山・飛騨古川・富山間および大阪~高山間を東海道本線・高山本線経由で運行する特別急行列車です。1958年3月1日に名古屋~富山間を運転する準急列車として運転を開始し、同年9月に高岡駅まで運転区間が延長され、1966年3月には急行列車に格上げされました。1968年10月1日から特急列車となり金沢まで運転区間を延長しましたが、1985年3月14日に飛騨古川~金沢が廃止されました。JR発足後、1989年にキハ85系が導入され、1990年3月10日に急行「のりくら」が廃止されたため、一部列車が再び富山駅まで運転されるようになりました。
 しかし1990年代後半以降、飛騨地方への道路交通が発達し、2000年の東海北陸自動車道の高山市街地近く(飛騨清見インターチェンジ)までの延伸、その後2008年の全通で自家用車や高速バスと競合するようになっています。また1997年の安房トンネル開通に伴い、長野県松本市方面への道路状況も改善し、これまで鉄道では結ばれていなかった首都圏直結の高速バスが開設されています。さらに富山までは「ひだ」1日4往復と少なく、高速バスの方が本数が多いため、列車は劣勢を強いられる状態になっています。
 その後2010年代に入り、訪日外国人旅行客(インバウンド)の急増に合わせる形で本列車の利用客も増えており、再び勢いを盛り返してきています。そこでJR東海では、ハイブリッド式の新型車HC85系を導入、2022年7月1日より、名古屋~高山間の一部の列車で営業運転を開始しました。同年12月1日からは富山駅発着の一部の列車においても営業運転を開始し、2023年3月18日からは大阪駅発着を含む全定期列車がHC85系で運転されています。

 HC85系気動車は、JR東海のハイブリッド式特急形気動車です。製造から30年以上が経過し、老朽化したキハ85系の置き換え用として2022年(令和4年)7月1日に特急「ひだ」でデビューした車両で、JR東海では初めてのハイブリッド気動車です。
 2017年(平成29年)に「次期特急車両」としてハイブリッド方式の車両を導入予定であることが発表され、2018年(平成30年)には内外装デザインと安全設備が、2019年(令和元年)には形式名やロゴデザインが発表されました。「HC85系」の「HC」は「Hybrid Car」の略で、形式名にはキハ85系から技術革新した車両であるとの意味合いがあります。
 2019年(令和元年)に試験走行車4両編成1本(D1編成)が製造され、長期試験が行われました。その後当初の計画通り2022年(令和4年)に量産車の導入が開始されました。なお試験走行車は量産車仕様に改造の上で営業運転に使用されています。
 2023年(令和5年)には鉄道友の会よりブルーリボン賞を受賞しました。JR東海が単独で開発した車両がブルーリボン賞を受賞するのは初めてのことです。
 シリーズハイブリッド方式が採用され、1両あたりのエンジン数を1台とすることで燃費向上が見込まれています。搭載エンジンはDMF14系列で、制御方式はVVVFインバータ制御です。
 また、客用ドア開扉時にエンジンを停止するアイドリングストップ機構を搭載。快適性向上のため、グリーン車には同社の313系5000番台と同様に左右動ダンパのセミアクティブ制振制御を使用しているほか、量産車ではさらに揺れが加わる地点の位置情報から作動域を調節する「地点制御機能」の追加が予定されています。新幹線の技術を応用し、各機器をリアルタイムで状態監視するシステムも気動車で初めて導入されました。
 なお、鉄道車両の運転には電車(甲種電気車運転免許)か気動車(甲種内燃車運転免許)によって運転免許が異なりますが、この車両に関してはどちらか片方のみ保有していても新たにもう片方の免許を取得することなく、必要な知識の講習と訓練を追加で受けた上で運転できるとされています。

 高山本線は、岐阜県岐阜市の岐阜駅から高山駅、猪谷駅を経て富山県富山市の富山駅に至る鉄道路線(地方交通線)です。
 岐阜~猪谷(富山市)間はJR東海、猪谷~富山間はJR西日本の管轄となっています。高山線とも呼ばれています。
 飛騨高地の山間を縫って岐阜市と富山市を結んでいますが、山間部あるいは盆地である岐阜県飛騨地方へのアクセス路線でもあり、下呂温泉や高山市、飛騨市への観光路線としての性格を持っています。岐阜~猪谷(構内を除く)間はJR東海の東海鉄道事業本部が、猪谷~富山間はJR西日本金沢支社の北陸広域鉄道部がそれぞれ管轄しています。本州の「本線」では唯一、地方交通線に分類されています。
 JRの前身である国鉄時代の1960年代に観光ブームにのって乗客が激増し、貨物輸送も沿線の開発に伴って増加したため、1960年代後半に蒸気機関車牽引列車の廃止とともに列車行き違い設備の増設や列車集中制御装置 (CTC) の導入といった輸送近代化が行われ、列車の増発が可能になりました。国鉄分割民営化後は岐阜~高山間において行き違い可能駅で両開き分岐器(Y字ポイント)を110 km/hでの高速通過が可能な型に取り換えるなど、優等列車の高速運転が行えるように改良が行われました。
 名古屋駅など東海道本線木曽川駅以南の各駅と、富山駅など北陸本線(現・あいの風とやま鉄道)福岡駅以東の各駅との距離は米原経由よりも高山本線経由の方が短くなっています。しかし東海道新幹線が米原を経由して開業し、あわせて北陸トンネルの開通をはじめ北陸本線の電化・複線化・高速化が行われ電車特急が頻発されるようになったため、所要時間や利用機会(列車本数)は北陸本線経由が優位でした。ただし、高山本線の特急「ひだ」がキハ85系に置き換えられスピードアップを果たしてからは、名古屋~富山間の所要時間では米原経由の「しらさぎ」とほぼ同等にまでなりました。なお2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線長野~金沢間開業以降は「しらさぎ」は金沢止まりとなり、富山へ行くには北陸新幹線あるいはIRいしかわ鉄道線・あいの風とやま鉄道線の列車に乗り換えなければなりません。北陸本線の電化区間が富山駅まで達する前の1963年(昭和38年)までは、大阪方面からも距離は長くなりますが岐阜駅で列車を乗り継ぎ高山本線を経由する方が富山駅までの所要時間が短い時期がありました。
 岐阜~鵜沼間では名鉄各務原線と並行しています。同区間の距離における地方交通線の運賃表は200円区間を除き幹線と同一料率であり、名鉄より安い運賃になっています(2024年現在)。また岐阜~美濃太田間はIC乗車カード「TOICA」の利用エリアに含まれています。
 2015年3月14日の北陸新幹線長野~金沢間開業により、並行在来線区間にあたる北陸本線金沢~直江津間はIRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道・えちごトキめき鉄道の第三セクター鉄道3社に経営分離されましたが、本路線の猪谷~富山間は引続きJR西日本が運営しており、大糸線のJR西日本区間(南小谷~糸魚川間)とともに、他のJR西日本の在来線と接続せず、新幹線とJR他社在来線のみに接続する区間となっています。新幹線の開業後、名古屋・岐阜と富山とを直接結ぶ列車は本路線の「ひだ」のみとなっています。
 また、北陸新幹線延伸開業後は、東京~高山間の所要時間は「東京→(東海道新幹線)→名古屋→(ひだ)→高山」の経路と「東京→(北陸新幹線)→富山→(ひだ)→高山」の経路でほぼ同等となりました。なお、富山駅は乗継割引の指定駅ではないため、北陸新幹線と「ひだ」を乗り継いでも特急料金などの割引は適用されません。そのため、名古屋経由の方が距離が長いにもかかわらず料金的には割安となっています。一方、神奈川県内からは依然として名古屋経由の方が所要時間・運賃料金ともに有利となっています。
 山間部が多いため、台風や大雨の影響を受けやすく土砂崩れや橋脚が流されるなどして長期間の運休も多発しています。
 かつては電化計画もありました。高山本線は中京と北陸を結ぶ動脈であることから、観光ルートとして重視していた富山・石川・岐阜・愛知の4県は1964年(昭和39年)に「高山本線強化促進同盟会」を結成し、高山線の複線化・電化を要望し続けてきました。1980年(昭和55年)5月6日の国鉄理事会で全線225.8 kmの電化計画が決定され、翌7日、運輸大臣に認可が申請されました。同年5月27日、高山駅構内で起工式も行われました。
 工事計画では、西富山駅付近など沿線に18か所の変電所を設置し、全線を直流1500 Vで電化する計画で、架線設置だけでなくトンネルや各駅ホームの改修、線路の強化などの付帯工事も行われる計画でした。総工事費は約200億円と試算され、全額が利用債で賄われる計画で、1985年度(昭和60年度)の完成、電化開業を目指していました。
 電化が完成した暁には山間地で機動力を発揮する振り子式電車が導入され、特急による岐阜~ 富山間の所要時間は4時間28分(1980年時点)から約4時間に短縮されるものと想定されていました。また高速化や利便性・快適性の向上だけでなく、東海道線・中央西線などの電化路線との車両の相互利用が可能になることや、近代化による誘客効果が高まること、北陸 – 中京間の交流強化も期待されていました。
 車両は当時中央西線の特急「しなの」に使用されていた車両と同じ381系直流特急用振り子式車両の導入、および急行以下用は457系交直流急行形電車の再生産が計画されていましたが、国鉄の財政逼迫から1985年ごろまでに電化計画そのものを取りやめ、駅構内などの線路改良と高性能気動車の導入に転換しました。その結果、特急列車に関してはJR移行後の新型車両キハ85系の導入によって従来の特急形電車と同等に近い性能となり、高山以南の所要時間は電化された場合と遜色がなく、振り子式車両特有の揺れも無いキハ85系導入当初は好評でした。しかし、2008年(平成20年)には東海北陸自動車道が全線開通し、さらには2019年(令和元年)に東海北陸道が愛知県一宮市の一宮ジャンクション (JCT) から高山市街地近くの飛騨清見インターチェンジ (IC) まで完全4車線化されたことにより、高速バス「ひだ高山号」との競争が激化しています。

路線データ
管轄・路線距離(営業キロ):全長225.8 km
東海旅客鉄道(第一種鉄道事業者):岐阜駅 – 猪谷駅間 189.2 km
西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者):猪谷駅 – 富山駅間 36.6 km
日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者):猪谷駅 – 富山駅間 (36.6 km)
軌間:1067 mm
駅数:45(起終点駅含む)
JR東海:35(猪谷駅を除く)
JR西日本:10
高山本線所属駅に限定した場合、東海道本線の岐阜駅が除外され44駅(JR東海は34駅、JR西日本は10駅)となる。終点の富山駅はかつて北陸本線所属だったが、同線があいの風とやま鉄道に移管されたためJR線としての所属線は本路線になっている。
複線区間:なし(全線単線)
電化区間:なし(全線非電化)
最高速度:岐阜駅 – 下麻生駅間 110 km/h[8]
     下麻生駅 – 高山駅間 100 km/h
     高山駅 – 富山駅間 85 km/h
IC乗車カード対応区間:TOICAエリア(JR東海):岐阜駅 – 美濃太田駅間
           ICOCAエリア(JR西日本):なし

2024年3月撮影

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