熊野信仰の原点ともいえる巨石信仰の象徴:和歌山県・熊野速玉大社(Kumano Hayatama Taisha | One of the three Kumano shrines)

▼チャプターリスト(目次)
0:00 オープニング
0:28 摂社・神倉神社
2:30 コトビキ岩
3:20 阿須賀神社
4:18 熊野速玉大社 参道
5:12 ナギの大樹
5:26 狛犬、手水舎、神門
6:27 熊野速玉大社 社殿
8:24 熊野速玉大社 摂末社

どうも、管理人のヒロリンです。

今回は世界遺産にも指定されている熊野三山のうちの一社、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)を紹介したいと思います。

熊野川が海に注ぐ河口の地に鎮座する同社。熊野三山の一つに数えられ、平安時代には熊野川上流にある熊野本宮大社から「川の参詣道」(熊野川)を経て、上皇や女院、貴族が参詣に訪れた古社です。

そんな熊野速玉大社の起源となった元宮とされるのが、同社摂社の神倉神社(0:28)。神倉山中腹にある神社で、山全体が境内地になっています。拝殿へとつながる自然石を積み上げた石段は熊野古道のなかでも特に古いもので、538段あります。古代の祭祀を現在に伝える神社で、社殿はなく、高さ約11メートル、幅約10メートルの御神体・コトビキ岩を祀ります(2:30)。「コトビキ」は、この地域の方言でヒキガエルの意味で、その形状からこのように呼ばれます。このコトビキ岩に、熊野三山の神々が初めて降臨したとされ、そのことからこの場所は特別な聖地となっています。

『日本書記』には、九州から東征してきた初代天皇・神武天皇一行が熊野上陸後、「天磐盾」に登ったと記されており、この天磐盾は標高約120メートルの現在の神倉山だったといわれます。

また、伊邪那美命(いざなみのみこと)の墓所・花の窟(いわや)が女性の象徴である「陰石」とされるのに対して、コトビキ岩は男性を象徴する「陽石」とされ、男女一対を成しているともいわれます。

神倉神社では2月6日の夜に火祭り・御灯祭が行われ、この時は神倉山が女人禁制となり、男性の上り子は白襦袢、白股引を着て、食べ物も白色のもの以外は禁じられます。「御灯祭は男の祭 山は火の滝 下り竜」と謳われ、山頂で灯された松明を持った男性たちが急峻な石段を駆け下ります。

紀伊半島南東部は、熊野酸性火成岩類と呼ばれる地質となっており、硬度が高く美しい白色の岩が多くあります。このため、熊野地方では岩に神様が宿る磐座信仰が発展しました。神倉神社は、熊野の原始の信仰を今に伝える神社なのです。

神倉神社に降臨した熊野三山の神々は次に阿須賀神社(3:20)の付近へ遷ったといわれています。その時に初めて結早玉家津美御子と称したと伝えられており、熊野権現の具体的な神名がはじめて現れた場所とされています。阿須賀神社の後方には「蓬莱山」と呼ばれる小さな山があり、古代より神の降臨する山とされてきました。

熊野速玉大社が現在の社地に遷ったのは景行天皇の時代。現社地に新しい宮を造営して遷座し、神倉山の「元宮」に対して「新宮」と称したと伝えられ、これがのちに現在の町の名前にもなりました。

現在の丹塗りが美しい社殿は昭和28年(1953年)に、鎌倉時代の『熊野曼荼羅』に描かれた様子をもとに再建されたもの。第1殿の結宮には熊野夫須美大神(ふまのふすみのおおかみ)を、第2殿の速玉宮には主祭神の熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)を祀り、合わせて12柱の神々を祀ることから新宮十二社大権現として崇敬を集めてきました。

代々の朝廷は神宝類を寄進して国家の安泰を祈願。中世以降、皇室や将軍家、大名家から奉納された古神宝類の数々は1200点以上あり、「彩絵檜扇」をはじめ一括して国宝に指定、神宝館でその一部を展示公開しています。

その神宝館前の参道にそびえる樹齢1000年のナギの大樹(5:12)は平重盛お手植えと伝えられ、天然記念物に指定。ナギは凪に通じることから、道中や家内の安全を守る熊野権現の象徴として信仰され、ナギの実を使って神職が手作りする「なぎ人形」は、縁結びや夫婦円満の縁起物として参詣者に喜ばれています。

Kumano Hayatama Taisha is a Shinto shrine located in Shingu, Wakayama Prefecture, on the shores of the Kumanogawa in the Kii Peninsula of Japan. It is included as part of the Kumano Sanzan in the UNESCO World Heritage site “Sacred Sites and Pilgrimage Routes in the Kii Mountain Range”. The three Kumano Sanzan shrines are the Sōhonsha (“head shrines”) of all Kumano shrines, lie at between 20 and 40 km of distance one from the other and are connected by the pilgrimage route known as “Kumano Sankeimichi”

Kumano Hayatama Taisha is located at the mouth of the Kumano-gawa River where the continuous flow of waters from the sacred heights of the Kii Mountains empty into the vastness of the Pacific Ocean.

The nature in and around the shrine is an integral part of this Grand Shrine’s precincts and annual rituals. The ancient 800 year old Nagi-no-Ki tree (Podocarpus nagi) highlights the areas deep tradition of nature worship.

Another natural object that is revered as a deity is the Gotobiki-iwa, a gigantic rock located halfway up Gongen Mountain. At the base of this monolith is a shrine called Kamikura-jinja, which is the site of another dynamic event.

The Oto Matsuri is a fire festival held every year on February 6th. Men of all ages dress is white clothes with a thick straw rope wrapped around their waist.

During the day of the event participants, called noboriko, only eat white food (white symbolizes purity) and some perform shiogori, a purifying ritual in the ocean, before heading up the steep stone staircase towards a clearing below Gotobiki-iwa.

Each participant carries a torch which is lit from a sacred fire. As the torches start to burn, the tension rises and finally erupts as the shrine gate bursts open, releasing the fiery dragon to race down the mountain.

The sky is illuminated orange as the sacred light reflects off of the blooms of rising smoke carrying the men’s hopes and wishes up to heaven.

4 Comments

  1. 今回も素敵なご紹介をありがとうございました。これだけの素敵な作品を作る労力やセンスが計り知れませんしたくさんの時間を費やして動画作成してくださっているのが本当によく伝わります。

    そして何より古代に人々が神を祀るために社殿や境内を整え作り上げたこと素晴らしく思います。この場所だけでなく日本にあるたくさんの神社をこれからも大事にして繋いでいきたいですね。

  2. ゴトビキ岩に桜があったんですね!
    神倉神社は神武天皇の伝説もあり、歴史的にも被写体としても興味深く、何回も参拝しました。
    いつか、松明を持って駆け降りるお祭りを撮影てみたいです。
    那智の滝の映像、楽しみにしています。

  3. この出来で不満足とはホント欲張りですね。でもいくらやり直しても満足出来ないのかもしれません。期待してます。

  4. 真に映像美以外に他なりません。
    そしてノイズ無き編集、素晴らしい以外語る事は無いのかも知れません。
    滝への道 🦉松本瀑水🦉

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