宿泊記【景観】地形に溶け込む「円形」の配置計画による研ぎ澄まされたデザインコンセプト。自然との「完全なる調和」 を追求した「泊まれる名建築」です。絶品フレンチと設計思想を解説します。
ザ・プリンス箱根芦ノ湖宿泊記
「一木一石たりとも大切に保存し、みだりに変更してはならない」
建築の巨匠、村野藤吾が箱根の国立公園の景勝地という
最高の場所に挑んだ設計思想を徹底解説します。
このホテルは、周囲の樹高を越えない低いスカイラインと 、
既存の樹林を避けて配置された2つの円形棟 が特徴。
単なる宿泊施設ではなく、自然との「完全なる調和」 を
追求した「泊まれる名建築」です。
富士山や駒ヶ岳を樹間を透して眺める客室の工夫 や、
空間を広く見せるためのユニークな洗面化粧台の配置 など、
建築家のディテールへのこだわりを巡ります。
ぜひ、動画を見ながら、村野藤吾がこの場所で実現したかった
「近代的な湖畔風景」 を体感してください。
目次
00:00 設計コンセプトとダイジェスト
00:46 宿泊記(ホテルへ)
03:25 ホテル到着
05:13 RoomTour(レイクビューツイン)
08:08 バルコニーへ(樋発見)
09:09 施設Tour(ロビーと階段デザイン)
18:45 Dinner Time(ボヌールディナー)
25:30 客室へ(バルコニーから夜景)
26:22 翌朝コメント
30:03 朝の散策(外観コンセプト説明)
34:52 Break Fast(ロイヤル)
40:41 湖畔散策(海賊船とコメント)
42:32 写真集(竣工時パンフレット)
45:56 写真集(現在)
48:34 チェックアウト
48:58 海賊船から見たホテル(コメント)
夕食はル・トリアノンで伝統のフレンチ
(ボヌールディナー)を食しました。
室数限定ということもあり、上質な空間で
静かにおいしいフレンチをいただきました。
食事後にはスタッフの方にレストランの
説明を受けるとともに、私が設計をしていて
村野ファンという話をしたところ、竣工時の
貴重なパンフレットを貸していただきました。
そこには、村野氏の設計趣旨も語られており、
はじめて知ったことも多々あり、あらためて
大ファンになりました。
下記に設計主旨と見どころをまとめてみたので
興味のある方はご覧ください。
以下パンフレット他からひも解く
ザ・プリンス箱根芦ノ湖の設計主旨です
設計コンセプト
【テーマ】:国立公園の自然との
「完全なる調和」と「景観の継承」
〇環境への敬意と保存
箱根の厳しい自然環境と美しい景勝地という
立地条件を最大限に尊重。
「一木一石たりとも大切に保存し、みだりに
変更してはならない」という強い信念のもと
既存の杉や松の樹林を伐採せず、建設後も
風景が変わらないよう徹底した配慮が
なされています 。
〇地形に溶け込む「円形」の配置計画
敷地内の樹木の間にある空地を縫うように
建物を配置するため、客室棟を「東棟」と
「西棟」の2つに分割。さらに、周囲の樹木を
傷つけず自然に収まるよう、建物形状には
「円形」が採用されました 。
〇樹高を超えないスカイライン
「環境と景観の保全」を第一義とし、建物の
高さを周囲の樹木の高さ以下に抑えています。
これにより、建物が主張しすぎず、樹間に
埋没するような近代的かつ静謐な湖畔の風景を
創出しました 。
【部位別】
(全体配置・外観)ー自然に従う円筒形の棟
〇計画のポイント: 96室(計画当初)の客室を
1棟にまとめず、樹木の隙間に合わせて
東西2つの「円形棟」に分散配置しています。
・見どころ: 樹齢の長い木々がそのまま残されて
いるため、それらが自然の垣根となり、東西の
棟それぞれのプライバシーを保っています 。
外壁にはインド砂岩などが使われ、周囲の
自然に馴染む色調になっています 。
(客室からの眺望)ー円形プランが生む多様な景色
〇計画のポイント: 建物が円形(ドーナツ状)で
その外周に客室が配置されているため、
部屋ごとの眺望に変化が生まれます 。
・見どころ: 湖畔側の部屋からは芦ノ湖や富士山を
山側の部屋からは駒ヶ岳の雄大な山並みを望む
ことができ、樹間を通して見るそれぞれの
景色がこのホテルの大きな特徴です 。
(レストランー地形を読み解いた東西の性格分け
〇東棟(カジュアル・レストラン): 現在なだ万
外部テラスから湖畔へとなだらかに庭が繋がり
水辺へ自然に入り込むような開放的な構成です 。
〇西棟(メインダイニング): ル・トリアノン
東棟とは趣を変え、低い石垣で段状に
区切った前庭を持ち、落ち着きのある格式高い
空間として計画されています 。
〇共通: 食堂の平面形も半円形をしており、
天井高は2層分の吹抜け空間となっています 。
(ロビー・エントランス)ー内外の連続性と静寂
〇 計画のポイント: エントランスから続く長い
ロビーは、奥行きのある大きな柱型とガラス窓で
構成されています 。
• 見どころ: 外壁の仕上げ材料や手法を室内まで
連続させる ことで、建物内外を等質な環境として
扱っています。
これにより、モダンでありながら落ち着いた
雰囲気が演出されています 。
(廊下・動線)ー森を散策するような移動体験
〇計画のポイント: 客室棟と、国際会議場や
レストランなどのパブリックスペースを結ぶ
長い廊下は、あえて樹木の間を縫うように
計画されています 。
• 見どころ: 単なる移動空間ではなく、リゾート
ホテル 特有の「森の中を歩く雰囲気」を
感じられる演出となっています 。
(客室・インテリア)ー空間を広く見せる工夫
〇計画のポイント: 部屋を広く見せるため、
洗面化粧台を浴室の外に出す配置計画が
採用されています 。
• 見どころ: 窓幅いっぱいに広がるバルコニーが
設置されており、室内にいながら風景を十分に
取り込める設計です 。
また、家族連れのためにベッドの配置を自由に
変更できるフレキシビリティも考慮されています